聴かせて君のその声を 心結ぶ糸を風に乗せて

初めて、

 

何かを途中で辞めた。

 

 

今の大学に入学して出会ったサークル。

先輩方の人形劇を観て、人形がほんとうに生きてるみたいやってめちゃくちゃ感動して、どうしようもなくなって勢いで入部した。もともと、サークルなんて入るつもりなかった。

それからこの1年と少し、わたしからサークルをとるとなんにも残らないんじゃないかってくらい打ち込んだ。

 

辞めようと思った理由。

忙しすぎたから、なんじゃないんかな。あまりにもサークルばかりで、要領の悪いわたしは、他のことができなかった。それでもいいって思えたのなら、辞めなかったと思う。けど、わたしはこの2年間で他のこともしておきたかった。

 

 

今は、はっきりそう言える....なあ。

 

今まで、辞めたいと思う瞬間が何度あっても、どんなにしんどくても、何かを途中で辞めたことが無かった。吹奏楽部も筝曲部もピアノも。

だから、辞めるって逃げるってことなんじゃないか、とも考えたし、辞めることでわたしが失うものはあまりにも大きすぎるのかもしれないと迷った。ずっと、ずーーーっと考えてもやもやして塞ぎ込んで、何をしていても頭のどこかに懸念があって、

二十歳にもなって、自分のことをどうしたらいいかわからず、どうどうめぐり。練習に行くと気持ちが揺らぐ。でも、一度辞めようと思った故 サークルの“これから”の話し合いに交るのは、もうしんどい。はっきりできないまま練習にも1年生の公演にも顔を出さず、ずるずると中途半端なままにして逃げ回ってた。

ほんとうに逃げ回ってた。

大学で、堂々と前を向いて歩けなかった。なんにも知らないみんなが、先生や先輩までもが、「いつも練習お疲れ様」「今から練習?」なんて声を掛けてくるから、そのたび曖昧に返事をして、逃げるようにその場を去ってた。

朝から大学に行かず自分の部屋で1日中ぼーっとする日が増えた(そのつけが今まわってきて、死にもの狂いの日々)。熱に浮かされたかのようにライブに行って、ツイッターコブクロコブクロって連呼してた。唯一考えなくてもいい時間だったから。忘れられる時間だったから。本にも逃げた。このまま逃げ切れるわけないとわかっては いたんやけどなあ。

 

 

練習に行かなくなって1ヵ月が経った頃、たのしそうに劇の練習をしている仲間の姿を見掛けた。きらきら輝いていて眩しくて、たった1ヵ月離れただけなのに、随分遠く感じた。

サークルを辞めることが、きらきら輝ける自分で居るための選択肢だと思っていたのに、そうじゃないのだとしたら、わたしは今何をしとるんだろうって。辞めるのならば、絶対に後悔しないように羨むことのないように全力で他のことするんだ、って決めたのに、結局どうすることもできずに中途半端なままの自分。

 

そんなときに、わたしがサークルを辞めるということを又聞きしたらしいゼミの先生から「辞め..たって本当なの?」って訊かれたから「はい。顧問の先生にはこれからお話するつもりです。」と答えたら、第一声が「なんで?」「それは就職に有利なの?」。

 

 

これは......参ったなー。耳を疑ったよ。あさのあつこさんの言葉をお借りするならば、「わたしの内に渦巻いた感情は、殺意に近いものでした」。

就職に有利だから、と思ったことなんて一度もありません。

それだけは 言えば良かった。脆くも大切に握りしめてきたものを潰されてしまいそうになった気がした。

 

 

 

昨日、ようやく顧問の先生とお話ができた。

絶対に泣かないって心に決めて研究室の扉をノックしたのに、先生の顔を見た途端涙が溢れてきそうで、そうしたら、もう先生はわたしが何を話しに来たのかわかっていらっしゃって「トイレに行ってくるから、そこに座っといて。」って。頬っぺた叩いて上向いて深呼吸して、、いざ言おうとすると

 

あ、あのぉ゛っ(既に泣いてる)

 

先生がちょっと笑ってティッシュの箱を前に持ってきてくださるから、涙も鼻水もだだ流しでした........

悩みだしてから、サークルの話をする度に 何の涙なのかわからない止まらない涙が出てくるからほんとうに困っていたんだけれども、先生はそれでも話を聴いてくださってうれしかった。

 

わたしの、このずっと抱えていた気持ちを、支離滅裂なわたしの言葉を、サークルへの思いを、こんなにちゃんと受け止めてくれたと感じたのは、先生がはじめてだった。はじめてスッキリした。

それは、先生がほんとうに劇を好きだから。幕がしまったときの達成感や喜びを、おんなじように味わった人として、「ね。たまらないね。やってみなきゃわからないことだから。」ってわたしに話してくださるから。

 

「やってて、克服したことやあなた自身変わったことがあるでしょう。」

その一言がどれほどうれしかったか。わたしは、履歴書の一行のためにしてきたんじゃない。もっともっと大切なものをたくさん得たんだ、って、言いたかったことをわかってくれていた。

はじめて公演の司会をやったときの舞台からの景色も、子どもたちの笑顔も、悔しくてぼろぼろ涙が出た日のことも、出会えたたくさんの素敵な人たちや知らなかった世界も、向いてないなあなんて思いながらも乗り越えてきたことも、殻を1枚破れたな自分、と感じたときのことも、全部全部抱きしめてくれた。

 

一緒にこれだけしんどい“仕事”をしていたら一生の友達になるからね。

あなたはじわじわ上手くなるね。だからもったいないけどね。

引き止めることはできないけど、嫌いじゃないのなら、公演とかの手伝いに来てね。いつでもウェルカムだから。

 

先生とお話をして、はじめてスッキリした。もやもやしてるうちに季節変わってたけどね。ようやく晴れた。辞めたからと関係を断ってしまうのではなく、ちょっと外から見守って関わっていける立ち位置を探せたらいいなって思った。

 

 

 

帰り際、 

「練習にこなかったこの1ヵ月、やりたいことしっかりやれた?」

って先生に訊かれた。だめでした、もやもやしていろんなことの狭間で逃げ回ってましたってはじめてちゃんと言えた。この意地っ張りのわたしが(笑)

「だろうね。見掛けた背中がうろうろしてて困ってたもん。....背中で演技してたよ(笑)ほんとにもう~~もっとはやく来なさい。」

  

背中で演技してたよ。....(号泣)

 

  

 

あれ....何が書きたかったんだっけ....

 

....まあいいや。

 スッキリした。 

 

 

 

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顧問の先生、とっても素敵な方なのです。

 

どのくらい素敵かっていうと、

子どもの想像の世界を提供し続けるためには、体を張って床にひっくり返っちゃうくらい素敵な人。(バラを振り回して「えいっ!」と棘を刺すという劇のワンシーンを先生に対して再現する子どもに、「ああ゛っっやめてくれえ~~ひい~~~~」と床を這いずり全力で演じられていた、還暦間近の先生を見て。)